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東京でヒロシマ継承 元高校教諭竹内さんが連続講座 被爆者ら招き証言共有

 原爆や戦争の被害について理解を深めようと、東京都立川市の元高校教諭竹内良男さん(67)が都内で1年間の連続講座「ヒロシマ」を開いている。月1~3回、被爆者や研究者を講師に招き、参加者が数十人に上ることもある。竹内さんは「証言者が高齢化する中、今聞いておくべき話は山ほどある」として、来年も続けるつもりだ。(田中美千子)

 今月1日は「被爆証言に向き合う」と題し、北区の貸し会議室で開いた。都内在住の被爆者2人が体験談を語り、参加した20~80代の男女12人が聞き入った。

 長崎で被爆し、父や妹を奪われた田栗静行さん(77)は、当時の惨状や母親の戦後の苦労を振り返った。5年前から胃がんと闘い、息子への健康の影響も案じているという。「二度とこんなことがないよう祈るだけ」と締めくくると、会場から「貴重な話が聞けてよかった」との声が相次いだ。

 竹内さんは勤務していた高校の修学旅行などのため、1980年代から広島に再三、足を運んできた。退職後も被爆者の体験を聞き取り、戦跡を巡るフィールドワークの企画・運営も続ける。東京での講座開催に踏み切ったのは「被爆地から遠のくほど、人々の意識も薄れる」との問題意識から。1月の開講後、口コミで広まり、50人以上が集まった回も。ほぼ毎回、通っている人もいるという。

 今後も被爆者や原爆絵本の作者、平和学の研究者をはじめ多彩な講師を招く予定。竹内さんは「戦後70年の節目を過ぎ、世間の関心は原爆や戦争からますます離れつつあるが、埋もれた話はまだまだある。掘り起こし、共有したい」と話す。1回につき資料代千円。竹内さんのメールアドレスqq2g2vdd@vanilla.ocn.ne.jp

(2016年10月17日朝刊掲載)

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