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平和の願い 東南アジアへ 島根県立大4年高橋さん 「青年の船」乗船 

被爆証言映像など紹介

 県立大総合政策学部(浜田市)4年の高橋絵里さん(22)=尾道市向島町出身=が、東南アジア諸国連合(ASEAN)と交流を深める東南アジア青年の船(内閣府主催)への乗船が決まった。「平和を望む気持ちは世界中同じはず」。各国代表に原爆の悲惨さを伝える平和活動をしようと準備を進めている。(松本輝)

 高橋さんは26日の出港に向け、被爆者の証言映像など、資料を用意。日本代表団40人のほか、10カ国約280人が乗る船で紹介し、感想を話し合う時間も設けるという。

 如水館中・高(三原市)当時、タイに2度留学。中学2年は現地で8月6日を迎えた。同級生に原爆のことを伝えたが「初めて聞いた」という反応ばかり。高橋さんの親戚には原爆で家族を失った人もおり、タイでの経験を「ヒロシマとの距離を痛感した」という。

 ことし8月6日、無料通信アプリLINE(ライン)で日本代表団のメンバーに「みんな平和記念式典、見ましたか」とメッセージを送った。だが、返信は「見てなかった」「そんなのやってたの」―。「日本でも原爆の恐ろしさを知らない人が増えてきている。私が伝えていかなければ」と、船内での活動を決めた。

 船は26日に東京を出港。12月14日までベトナム、インドネシア、シンガポール、タイを訪れて現地の文化を学ぶ。船内では浜田市の石州半紙(ばんし)や尾道市の帆布なども紹介する。

 高橋さんは「オバマ米大統領も訪れたことしは、広島にとって大きな意味のある年。私に話せることを精いっぱい伝えたい」と力を込めた。

(2016年10月17日朝刊掲載)

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