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国際交流 卒寿が懸け橋 岩国の新庄さん 活動半世紀 基地関係者と若者ら稲刈り

 岩国市横山の元養護教諭新庄菊子さん(90)が、半世紀近くにわたって国際交流に取り組んでいる。活動に賛同した専門学校生や高校生のサポートもあり、新庄さんは若い世代への広がりに目を細めている。(馬上稔子)

 休校中の天尾小(同市天尾)と近くの田んぼで8日にあった稲刈り交流会。米海兵隊岩国基地の関係者23人と、公募で市内外から集まった親子連れなどの31人が参加した。新庄さんが孫の通う岩国工高に呼び掛け、参加した生徒15人は誘導や食事の準備を担った。参加者は英語を交えて趣味などについて話し、交流を深めた。

 基地内に住む教諭のシャロン・メッサーさん(25)は「稲刈りは初めて。体験を共有できるなんて素晴らしい」。同高3年吉村祐輝さん(18)は「『ありがとう』と日本語で言われてうれしかった」と笑顔を見せた。

 稲刈りは、新庄さんが代表を務める「地域交流の里」と市が主催。交流の里は、旧天尾小の校舎活用策を探っていた地元農家10人と2007年に設立した。田植えなども含めた日米交流会は約10年間続いている。

 新庄さんが国際交流活動を始めたのは40代。次男がボーイスカウトに入ったのを機に、岩国基地に住む子どもを自宅に招いた。家庭料理や枕投げを喜ぶ様子に、「特別なことをしなくても国際交流はできる」と実感。その後も、幾つもの交流グループに関わり、習字や折り紙体験の場を設けてきた。

 足が弱り、ことしは稲刈りはしないで見守った新庄さん。「岩国の若者は外国人と触れ合うことができる環境にある。交流の輪を広げ、お互いを知ってもらいたい」。卒寿を迎えた今も現役だ。

(2016年10月20日朝刊掲載)

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