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「広島と同じ痛み」 ドクさん平和公園訪問

 ベトナム戦争中に米軍によってまかれた枯れ葉剤の影響で結合双生児として生まれ、分離手術を受けたグエン・ドクさん(35)が20日、広島市中区の平和記念公園を初めて訪れた。「広島の人々は私と同じ痛みを抱いている。過去を乗り越え、一緒にいい将来をつくりたい」と語った。

 ドクさんは松葉づえをつきながら原爆慰霊碑に進み、花輪を手向けて手を合わせた。続いて原爆資料館を志賀賢治館長の案内で見学。被爆直後の市内のパノラマ模型などを熱心に見つめた。

 広島国際会議場での記者会見では「たった一つの爆発で人々がこんなに苦しんだと知り、ショックを受けた」と強調。核兵器と化学兵器について「人類を絶滅させる不道徳なものだ。私は反対だ」と力を込めた。

 ドクさんは、結合双生児の「ベトちゃんとドクちゃん」の弟として知られる。今回は東広島市に拠点を置く広島ベトナム平和友好協会の招きで来日。21日午後6時半から、東広島市西条栄町の芸術文化ホールくららで、枯れ葉剤の被害や、2児の父親として生きる今の暮らしについて語る。(長久豪佑)

(2016年10月21日朝刊掲載)

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