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毒ガス資料保存 初要望へ 大久野島で慰霊式 被害者高齢化「廃絶 全世界に訴え」

 竹原市忠海町の大久野島にあった旧日本陸軍の毒ガス工場で障害を負った被害者の慰霊式が20日、島内の慰霊碑前であった。被害者の高齢化を受け、大久野島毒ガス障害者対策連絡協議会は11月10日、国に「負の遺産」の資料保存について初めて要望する。(山田祐)

 被害者と遺族約160人が参列した。この1年間に亡くなった67人の名前を加えた3797人の死没者名簿を慰霊碑に奉納。花を手向けた。主催した連絡協の神明正明副会長(84)は「核兵器と生物化学兵器の廃絶を強く全世界に訴える」と宣言した。

 県によると、国の健康管理手帳を持つ被害者は1901人で平均88・6歳(10月1日現在)。高齢化で被害者の団体は4月に1団体が解散。残る8団体のうち尾道市の大久野島瀬戸田親睦会は来年3月末で解散する。

 被害者団体と周辺の8市1町でつくる連絡協は、財務省と厚生労働省へ提出する要望書に、「島の遺跡や被害者の援護施策に関する資料の保存」を初めて盛り込む。これまでの医療費の手当の拡充などに合わせて求めていく。

(2016年10月21日朝刊掲載)

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