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国連核禁止決議「賛同を」相次ぐ 日本被団協 米へ要請書

 来年3月の「核兵器禁止条約」の制定交渉開始を定めた国連総会決議案について、米国が北大西洋条約機構(NATO)諸国に対し採決での反対投票を求める書簡を配布したのを受け、日本被団協は27日、米国を非難し、核兵器廃絶の実現を訴えるオバマ大統領宛ての文書を送った。

 文書は、5月に広島市を訪れた際に「核兵器のない世界を追求する勇気」を訴えたオバマ氏の言葉を引き「決議案に反対するよう圧力をかけるとは二枚舌を使うような行為だ」と批判。核兵器を使った国の大統領として「今こそ核なき世界を実現する勇気を発揮してほしい」と求めている。米国の国連代表部にファクスと電子メールで送った。

 決議案は週内にも採決される見通し。米国は「抑止力に影響が及ぶ」として、反対票を投じて交渉に参加しないよう求める非公式書簡をNATO諸国に配っていた。

広島・長崎市長 賛成求める文書 外相宛て

 広島市は27日、「核兵器禁止条約」の制定交渉の来年開始を定めた国連総会決議案に賛成し、交渉を主導するよう日本政府に文書で要請した。

 文書は岸田文雄外相宛てで松井一実市長名。「核兵器なき世界」の実現へ国際的な機運を大きく進展させる好機とし、「交渉が2017年中に開始されるよう力強いリーダーシップを」と求めた。市職員が外務省軍備管理軍縮課に届けた。

 長崎市の田上富久市長もこの日、同様の要請書を外務省へ提出した。要請書は外相宛て。

民進議連は声明

 「核兵器禁止条約」制定に向けた交渉を来年3月に始めるよう定めた国連総会の決議案を巡り、民進党の「核兵器のない世界を目指す議員連盟」(岡田克也会長)は27日、「わが国はできる限り賛成すべきであり、反対という選択肢はあり得ない」とする緊急アピールを発表した。

 アピールでは、決議案を「直ちに核兵器を禁止するものでなく日本の立場と矛盾しない」「北朝鮮による核実験に対し、国際社会は断じて認めないとの意思を表明するためにも有用」としている。

 決議案は週内にも採決の予定で、日本政府は賛同しない方針を決めたとみられる。

(2016年10月28日朝刊掲載)

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