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国の基準に不満訴え 広島の原告ら

 国の判断を覆し、長崎で被爆した男女2人を原爆症と認めた大阪地裁の判決を受け、被爆者や同様の訴訟に携わる弁護士が27日、広島と東京で相次ぎ記者会見した。喜びの声を上げる一方、国の認定基準に改めて不満をあらわにした。

 「被爆者に寄り添った判決」。広島訴訟の原告の一人、内藤淑子さん(72)=広島市安佐南区=は笑顔を見せた。広島訴訟では、内藤さんを含む2人が広島高裁、24人が広島地裁でそれぞれ係争中。「2人とも認定されたのはとても心強い。私たちも頑張っていきたい」と気を引き締めた。

 弁護団事務局長の二国則昭弁護士は、大阪地裁が原告の病気を被爆の影響が否定されるものではないとした点について評価。「国の基準に裁判所が疑問を投げ掛けた」と述べた。

 東京では、日本被団協、原告側の全国弁護団の代表たち6人が、厚生労働省を訪れ、原爆症認定制度の抜本的な改正を求める声明を提出した。その後の記者会見で、東京都の被爆者団体「東友会」の大岩孝平代表理事(84)は「厚労省は裁判所の判断を素直に受け止めて控訴しないでほしい。老いた被爆者に追い打ちをかけることになる」と訴えた。(有岡英俊、田中美千子)

(2016年10月28日朝刊掲載)

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