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「中島地区」遺構 保存を 平和公園一帯 専門家や元住民訴え 広島市中区

 広島市中区の平和記念公園の一帯にあり、原爆で壊滅した旧中島地区の町並みの遺構の保存・活用を考える集会が30日、同公園内の原爆資料館であった。資料館本館敷地で市が進める発掘調査で建物跡などが出土したのを受け市民団体が企画。約30人が専門家や元住民の話に耳を傾けた。

 畑口実・元原爆資料館長は、同公園内の国立広島原爆死没者追悼平和祈念館建設時の発掘調査でも遺構が出ていたことに触れ「市民の当時の生活を感じたが、保存はされなかった」と指摘。「被爆の実相を伝えるにはそこで何が起きたか、そのまま見てもらうのが大事」と保存の必要性を訴えた。

 同地区の理髪店が生家の浜井徳三さん(82)=廿日市市=は「原爆で両親やきょうだいを亡くした悲しい場所。今は公園に大勢の人が来るが、生活の上を踏みにじられている思い」と強調。遺構の保存や発掘調査の範囲拡大に期待をにじませた。(畑山尚史)

(2016年10月31日朝刊掲載)

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