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中国残留孤児を朗読劇に 広島の支援者ら6日南区で初披露 体験聞き取り 脚本制作

 広島市内の中国残留日本人孤児と家族でつくる市中国帰国者の会(中区)の支援者が、残留孤児をテーマにした朗読劇を作った。6日に南区の市留学生会館である「留学生会館まつり」で初披露する。(栾暁雨)

 約30分の朗読劇のタイトルは「棄(す)てられた民」。戦後の混乱で日本に帰国できず、中国人の養父母に育てられた少女が主人公だ。中国の学校で孤立し、成人して帰国した後も国の支援を十分に受けられず、生きにくさを感じ苦悩する様子を描く。2015年4月の同会設立時から支援する団体役員小川順子さん(72)=西区=が朗読する。

 演劇が趣味の小川さんが、知人でアマチュア劇団員の会社員阿部頼繁さん(63)=府中町=に脚本を依頼した。 戦時中に満蒙開拓団の一員として旧満州(中国東北部)に入植した家庭に生まれた残留孤児で、小川さんの友人でもある奥山イク子さん(83)=京都市=を2人で訪ね、体験を聞き取った。同会のメンバーにも帰国後の生活について聞いた。

 「残留孤児は戦争被害者にもかかわらず、社会から忘れられてきた。孤児の戦後はまだ終わっていない」と小川さん。1990年に吉林省から帰国した同会の中山文林(ふみしげ)さん(71)=中区=は「多くの人に残留孤児の歴史的背景を知ってほしい」と期待する。

 朗読劇は午後1時50分から。中国東北部の伝統舞踊の披露もある。無料。

(2016年11月1日朝刊掲載)

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