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被爆地の重み胸に力走へ ひろしま平和マラソン3日号砲 インド出身 サハニさん初出場

 インドから5年前に来日した広島市中区のパート従業員サンジュ・サハニさん(33)が3日、西区である第36回ひろしま国際平和マラソンに初出場する。ほぼ毎日、ジョギングや散歩で自宅近くの平和記念公園(中区)に向かうサハニさんは「被爆後の焼け野原から復興した広島で、平和を願い走りたい」と心待ちにしている。(栾暁雨)

 サハニさんは、ヒンズー教の聖地として知られるインド北部バラナシの出身。家業の土産物店を手伝いながら観光ガイドをしていた2008年、広島市から旅行で訪れた看護師の宮本晃子さん(47)と出会った。晃子さんとは帰国後もインターネットで連絡を取り合い、結婚を機に11年に来日した。

 海外の友人が広島を訪れると、中区の原爆ドームと原爆資料館を案内する。「平和な日常は当たり前ではない」とサハニさん。バラナシで06年にあったヒンズー教寺院と鉄道駅での連続爆発テロで友人を亡くし、自らも負傷した経験が、被爆地の歴史に関心を持つきっかけになった。

 06年に出場した晃子さんの勧めもあり、チャレンジコース(約10キロ)への参加を決めた。本番へ向け、春先から毎日約1時間の走り込みを続ける。「テロも原爆も普通の市民への無差別の殺傷。マラソンができる平和に感謝し、全力で駆け抜けたい」と力を込める。

(2016年11月3日朝刊掲載)

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