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騒音・安全性 懸念消えず 岩国市長 F35受け入れ容認 市議会、理解示す意見も

 岩国市の米海兵隊岩国基地へ来年1月以降、最新鋭ステルス戦闘機F35Bが配備される計画について、福田良彦市長が受け入れを表明した2日の市議会全員協議会。質問に立った8会派13人からは、対応に理解を示す意見がある一方、「基地機能強化だ」「安全が担保されていない」などと懸念する声もあった。(馬上稔子、野田華奈子)

 「市長個人の体感で騒音の不安が払拭(ふっしょく)されたのなら大きな問題だ」。議員の一人は、福田市長が米海兵隊ユマ基地でF35Bを視察し、他の航空機と騒音にほとんど差はないとした点や、これまで国などが示した安全性の根拠に疑問を呈した。

 福田市長は「(同行した)市や防衛省、外務省の職員との間でも総意として差異はなかった」と強調。議場でF35Bの模型を使い、コンピューター制御された機体の安全性を説明してみせた。

 市長の判断に理解を示す議員は「どんな航空機も事故が皆無なわけではない。配備後の検証は不可欠」などと指摘した。「騒音対策をどう充実するのか」との質問に対し、福田市長は、住宅防音工事の拡充を国に働き掛けているとし、「騒音予測図はあくまで国の予測。配備されれば運用状況を確認し、必要ならば国に適切な対応を求める」と答えた。

 広島県内での低空飛行や騒音を危惧する声もあった。対応を問われ、村田光洋・政策審議官は「市はどんな訓練でも住民生活に大きな影響がある運用は認めない立場。F35Bに関する問題については、外交防衛政策の観点から国が自治体に説明すべきだ」とした。

 在日米軍再編で2017年ごろまでに、米海軍厚木基地(神奈川県)から岩国基地へ空母艦載機59機が移転する計画もある。市長の対応に理解を示す議員は「市民は負担を強いられている」とし、安心安全対策や地域振興策に関する「目に見える成果」を求めた。

 福田市長は「適切な措置として、時代のニーズに即した新たな分野についても、市民や議会が納得を得られるような施策を国に求めたい」と述べた。

(2016年11月3日朝刊掲載)

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