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虐殺逃れ 平和へ一歩 ルワンダ出身マリールイズさん三次で講演

 ルワンダ出身でNPO法人「ルワンダの教育を考える会」(福島市)理事長の永遠瑠(とわり)マリールイズさん(51)が、三次市甲奴町のジミー・カーターシビックセンターで「ルワンダの悲劇から学んだこと」をテーマに講演した。1994年の虐殺を逃れた日々や現地での学校建設を振り返り、「戦争は子どもたちの夢を奪う。教室には夢がある」と平和の大切さを訴えた。(八百村耕平、中井幹夫)

 マリールイズさんは死者100万人ともいわれる大虐殺のさなか、幼い子ども3人と逃走。「随分歩いてヘトヘト。私も倒れそう。でも子どもたちは『どうにかしてくれる』と信じている。でもどうしようもない。子どもの信頼を失いそうなのがつらかった」

 何とかたどり着いた難民キャンプで、国際医療ボランティア団体AMDA(アムダ、岡山市北区)のメンバーと出会った。ここで国際電話を使い、以前に研修で訪れたことのある福島県のホームステイ先に「ヘルプ」のメッセージを伝えることができた。「難民ではなく、留学生」として日本へ逃れることができた。

 その後、首都キガリに学校を造った。2015年度までに子どもたち234人が巣立った。現地で平和コンサートや原爆展も企画。「『戦争があったら学校に行けない。いやだ』との現地の子どもたちの言葉を聞いた。平和になれば学校へ行ける。教室で学べば希望が持てる」と話した。

 元広島平和文化センター理事長のスティーブン・リーパーさん(68)も「甲奴から平和文化を発信!」と題して講演。戦時中に供出された甲奴町の正願寺のつり鐘が米アトランタ市のカーターセンターに「ヒロシマの鐘」として保存されたことを機に両地域の交流が生まれたことを説明した。

 15年春に、マリールイズさんと広島市内でトークイベントを開いたのが縁で今回の講演会を開催。それを踏まえて、「人との交流により平和は生まれる。どうしたら地球人になれるか考えよう」と問題提起した。2人の座談会もあった。

 ルワンダの教育を考える会などでつくる実行委員会が主催、約40人が参加した。

(2016年11月7日朝刊掲載)

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