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核兵器禁止条約 交渉へ 日本の建設的貢献望む 赤十字国際委 マウラー総裁に聞く

 赤十字国際委員会(ICRC、本部スイス)のペーター・マウラー総裁が7日、東京都内で中国新聞のインタビューに応じた。「核兵器禁止条約」制定に向け、来年3月の交渉開始を定めた決議案が国連総会第1委員会で採択されたことを歓迎。反対票を投じた日本政府に対し「交渉には建設的な貢献を」と求めた。

 ICRCは2010年ごろから核兵器の禁止に向け、その非人道性を国際社会に訴える活動を強めてきた。「核兵器廃絶はわれわれの使命。大多数の国が賛成票を投じたことを評価したい」と強調した。

 米国など核保有5大国は反対か棄権に回ったものの「保有国抜きの禁止条約では意味をなさない」と指摘。核拡散防止条約(NPT)が保有国に核軍縮交渉を義務付けていることを踏まえ「決議案は決して法外な内容ではない」とし、保有国の前向きな関与を訴えた。

 反対票を投じた日本には「他の国と同じく、政治や軍事上の課題を考慮した結果だろう」と受け止めつつ「国民も政府も廃絶を望んでいるはずだ」と強調。交渉の前進に向けて貢献するよう期待した。ICRCとして交渉の場に加わる意向も示し「今後も非人道性に関する情報や証拠を提供したい」とした。

 被爆地の役割については「広島、長崎ともに市民社会が核軍縮に深く関わっている。調査研究や思いを発信することで交渉に貢献できる」と述べた。

 マウラー氏は政府要人との意見交換などのため来日した。9日に帰国する。(田中美千子)

(2016年11月8日朝刊掲載)

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