×

ニュース

F35 山口知事も容認【解説】不安解消に尽力を

 岩国市の米海兵隊岩国基地に最新鋭ステルス戦闘機F35Bが「機種更新」として配備される計画について、山口県の村岡嗣政知事は「地元の意向を尊重する」として了承した。市民生活に影響を及ぼすかどうかの判断を事実上、地元岩国市に委ねた格好だ。

 F35B配備は米国外で初となる。同市の福田良彦市長は判断に先立ち、米アリゾナ州の海兵隊ユマ基地を視察。米軍側は機体の安全性が現行機種より向上した点を説き、市が必要な情報を得られたのは確かだ。だが、米軍側が事前に分刻みのスケジュールを組み歓迎した様子からは、日米同盟の強固さを確認し合うような印象さえ受けた。そもそも国が事前に収集できた情報も多かったといえる。

 周辺の同県和木、周防大島両町も今回、市の視察結果を判断材料として重視した。ただ、「現状とほぼ変わらない」とされた騒音はあくまでも体感や予測であり、機数や運用状況は米軍の都合で将来変わる可能性をはらむ。容認した以上、配備後の継続的な検証は地元市町だけでなく県の重大な責務でもある。市民生活が脅かされる状況があれば厳しい姿勢で臨むべきだ。

 岩国基地には来年ごろまでに、在日米軍再編で米海軍厚木基地(神奈川県)から空母艦載機59機の移転も計画される。桁違いの規模で基地は変容し、地元自治体は難しい判断を迫られる。国の示す地域振興策に安易になびくことなく、住民が抱く不安や懸念をどこまで解消できるか。国や米軍にとって「物分かりの良い」自治体であってはならない。(野田華奈子)

(2016年11月9日朝刊掲載)

年別アーカイブ