×

ニュース

F35 配備容認を撤回 山口知事 事故情報受け「留保」

 山口県の村岡嗣政知事は9日、米軍が最新鋭ステルス戦闘機F35Bを米海兵隊岩国基地(岩国市)へ配備する計画を容認するとした8日の判断について「留保する」として、事実上撤回した。中国四国防衛局から8日夜、米国で10月27日に飛行中のF35Bが出火する重大事故があったとの情報が提供されたため。事故の原因究明や対策の説明を待ち、あらためて判断する。

 村岡知事は記者会見で「重大事故がないことを根拠に安全性に問題はないとしてきたが、前提が変わった。大変困惑している」と述べた。計画を承認するとしていた岩国市の福田良彦市長も「まずは事故の状況と原因を把握し、F35Bの安全性に問題がないか確認したい」とコメントした。

 空軍仕様のF35Aが2014年6月に米フロリダ州で起こした火災事故では、詳細な原因究明まで8カ月近くを要した。村岡知事は今回の事故で「計画の是非を判断する状況ではなくなった。安全性に大きな懸念がある中で、受け入れることにはならない」としており、米国外では初めて17年1月に10機、同8月に6機を配備する計画に遅れが生じる可能性も出てきた。

 村岡知事は福田市長と基地周辺の2町長とともに10日、外務、防衛両省を訪れて計画容認を伝える方針だったが、延期した。村岡知事が10日、単独で岸田文雄外相と稲田朋美防衛相と会い、米側に原因と対策の説明を求めるよう要請する。

 中国四国防衛局によると10月27日、米サウスカロライナ州の海兵隊ビューフォート基地に所属するF35Bが飛行中に出火。着陸し、けが人はいなかった。米海軍安全センターは、200万ドル以上の損害などが出た重大事故「クラスA」に登録した。(村田拓也)

(2016年11月10日朝刊掲載)

年別アーカイブ