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外交や景気 懸念の声 中国地方の市民 米大統領トランプ氏

 米大統領選でトランプ氏が勝利し、中国地方では「意外」と受け止める市民が多かった。日米関係や安全保障体制、景気への影響を懸念する声も上がった。

 「クリントン氏が勝つと思っていた」と三次市の中島達男さん(77)。「トランプ氏とパイプのある日本の政治家はいるのか。日米関係がぎくしゃくしなければよいが」と心配した。江津市の渡利隆子さん(86)も「過激な発言ばかりで、実現力があるかは疑問」。中国新聞社はトランプ氏の当選確実を報じる号外を発行し、広島市中区で受け取った同区の平賀八重さん(76)は「女性を蔑視する言動が多くいいイメージはない。当選は意外」と話した。

 日本が在日米軍の駐留経費を大幅増額しない場合、米軍を撤退させる可能性にトランプ氏は言及した。米海兵隊岩国基地のある岩国市の飲食店経営岡田文雄さん(61)は「基地が撤退すれば、飲食店や企業は大打撃を受ける」。同市の会社員杉本雅子さん(50)は「撤退しなくても、これ以上日本に駐留費用を要求するのは筋が通らない」と訴えた。

 三原市の介護職員菅田明夏さん(29)は「挑発的な発言で東アジアが一層不安定になっていくのでは」と懸念。次男の同級生が来春自衛隊に入隊するという呉市の銀行員住岡雅子さん(57)は「在日米軍を縮小したら、自衛隊員は危険な任務をこなす機会が増えるかも」と心配する。

 一方、海上自衛隊呉基地所属の50代の自衛官は「誰が大統領になっても安保体制は揺るぎない。粛々と任務を遂行していくだけ」と冷静に受け止めた。

 環太平洋連携協定(TPP)反対などの経済政策を不安視する声もあった。広島市西区の主婦坂元満子さん(79)は「米国が保護政策にかじを切り、1980年代のような貿易摩擦が起きないとよいが」。福山市の会社員住田嘉代さん(38)は「経済への影響が見通せない」と不安を隠さない。

 日本政府への注文も。広島市西区の清掃員松浦梢さん(76)は「大統領が代われば国の方針も変わる。日本も自立を考える時期にきているのでは」と話した。

(2016年11月10日朝刊掲載)

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