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基町アパートを設計 故大高氏の業績に迫る 広島市中区でシンポ

 被爆地の復興過程で広島市営基町高層アパート(中区)を設計した建築家、故大高正人氏の業績に迫るシンポジウムが12日、同区の基町小であった。専門家らが大高氏の理念を振り返り、建物の老朽化などの課題や活性化策を語り合った。

 大高氏が基町の再開発に携わったのは1968年から。河岸も含めた一帯の住民を受け入れる高層アパートは78年に完成した。

 氏の下で設計に関わった現代計画研究所(東京)の藤本昌也会長は、学校や商店を取り込んだ独特な構成について「建築は人々の幸せのためにある。それが大高氏の理念だった」と回顧。

 完成から38年がたち、老朽化や住民の高齢化、空き店舗の活用策が課題となる中、石丸紀興・元広島大教授(都市計画史)は「大高氏の時代を先取りした考えを受け止め、将来を紡ぐことが重要。われわれも情報発信に努めたい」と語った。

 シンポは広島市立大と市、文化庁が開き、約200人が参加した。(林淳一郎)

(2016年11月13日朝刊掲載)

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