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平和宣言の変遷「見える化」 広島大 佐藤准教授ら動画制作

 8月6日の平和宣言に使われている単語から、平和に対する考え方や社会情勢の変遷を読み解く動画を、広島大原爆放射線医科学研究所(広島市南区)の佐藤健一准教授(統計学)たちが作った。南区の広島大医学資料館の企画展で12月22日まで上映している。

 歴代の広島市長が8月6日に読み上げた宣言を、統計学の手法で分析した。1947~2016年の計69回分。佐藤准教授や川野徳幸教授(原爆・被ばく研究)たちが、「世界」「核兵器」など使用上位の51単語を抽出し、いつ、どんな単語と一緒に使われているかを詳しく分析した。

 すると、ずっと使い続けられている▽開始当初は使用されず後に定着▽一時増加したが近年は減少―などの5パターンに分けられることが分かった。

 例えば、「被爆」「核兵器」「ヒロシマ」など現在は頻繁に使われる単語は、宣言の開始当初は登場しない。東西冷戦が終結して緊張が緩和するのに伴い「軍縮」「連帯」などは90年ごろをピークに減少する。

 これらをパターンごとに色分けし、多く使われている単語を大きく、一緒に使われている単語を近くに表示し、各年1枚の画像を制作。69回分をパラパラ漫画のように動かすと、近年使われなくなった単語は画面の端に徐々に移動し、消えてしまう。動画は約5分。

 佐藤准教授は「平和宣言は、その時代の平和に対する考え方や社会情勢を映している」と解説。「興味を持つきっかけになれば、うれしい」と期待する。

 企画展「平和宣言のことばの歴史」は午前10時~午後4時。無料。過去の平和宣言の内容を紹介する一覧表も掲示している。日曜と祝日は休館。広島大医学資料館Tel082(257)5099。(新谷枝里子)

(2016年11月15日朝刊掲載)

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