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「放射線の人体影響」改訂 HICARE チェルノの情報盛る

 広島県や広島市などでつくる放射線被曝(ひばく)者医療国際協力推進協議会(HICARE)は、医学書「原爆放射線の人体影響」を20年ぶりに改訂した。原爆被爆の新たな研究成果やチェルノブイリ原発事故の被曝者のデータなどを盛り込んだ。

 原本は1992年に発刊。被爆者医療の集大成として、国内外で役立てられてきた。

 改訂版はB5判変型、416ページ。被爆者を原爆被爆者、胎内被爆者、被爆2世に分け、健康への影響をより分かりやすく解説。「原爆被爆者は白血病やがん発病の危険性が生涯通して高い」など新たな知見も収めた。原本の発刊当初は判明していなかったチェルノブイリ原発事故の影響も報告している。

 改訂では、放射線影響研究所(放影研)や広島大原爆放射線医科学研究所(原医研)など、広島、長崎で被爆者治療に携わる医師たち50人が執筆した。

 編集時、会長だった土肥博雄・日本赤十字社中四国ブロック血液センター所長は「高いレベルでの科学的裏付けを得た研究を網羅できた」。編集責任者を務めた放影研の児玉和紀主席研究員は「福島第1原発事故の被曝者の治療にも役立つはず」と強調する。

 今月から医学書専門店などで1万4700円で販売している。(山本堅太郎)

(2012年6月30日朝刊掲載)

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