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四国五郎さんの思い紹介 戦争を起こす人間に本気で怒れ 長男講演 広島市中区

 峠三吉の「原爆詩集」の表紙絵などの画業で知られる画家・詩人の四国五郎さん(1924~2014年)の長男・光さん(60)=大阪府吹田市=が19日、広島市中区の県立図書館で講演した。被爆地広島から平和への思いを訴え続けた父の生きざまを語った。

 同館友の会の主催で約40人が聴講。友達とけんかをした光さんに「ささいなことに怒るのではなく、戦争を起こす人間に本気で怒れ」と何度も言っていたことを紹介し、「父の反戦の決意を必死に伝えようとしていたのでは」と振り返った。

 シベリア抑留中に隠れて書いた日記を命懸けで持ち帰り、連合国軍総司令部(GHQ)の占領下では逮捕を顧みず、自作の絵や詩を街頭に張り出したエピソードも明かした。

 五郎さんは三原市生まれ。20歳で徴兵されて旧満州(現中国東北部)に渡り、シベリア抑留を経て復員。弟の被爆死を知り、その衝撃から絵や詩で平和を訴え続けた。中区の画家末満誠子さん(69)は「生前に会った時は静かなイメージだった。平和への熱い思いを持って活動されていたのが分かった」と話していた。(坂本顕)

(2016年11月20日朝刊掲載)

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