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ノモンハン事件 次代に 浜田で元兵士らが「語り継ぐ会」

 1939年に旧日本軍と旧ソ連軍が旧満州(中国東北部)とモンゴルとの国境付近で武力衝突した「ノモンハン事件」を語り継ぐ会が1日、島根県浜田市の浜田護国神社であった。浜田水産高(浜田市)の生徒が制作し、平和を題材にしたビデオコンクールで最優秀賞を受賞した元兵士の証言記録も上映し、世代を超えて語り継ぐ必要性を再確認した。(浜岡学)

 会合には元兵士や遺族を含む約30人が出席。平和祈念展示資料館(東京)主催のコンクールで昨年度、最優秀賞を受賞した作品を視聴した。約9時間に及ぶ元兵士のインタビューを担当し、今春同校を卒業した螺山(ほらやま)光さん(18)は「後輩と一緒に、自分たちが戦場での出来事をしっかりと伝える」と力を込めた。

 元兵士で出雲市大津町の柳楽林市さん(94)と、背中に砲弾の破片が残っている益田市白岩町の石川正さん(95)は「いつ死ぬかわからない状況だった」「上官の命令は絶対だった」と証言した。

 高校生の証言ビデオが最優秀賞を受賞したニュースを知って初めて参加した尾道市御調町の会社社長森田治博さん(76)は「参戦した父はノモンハンでの体験を一切、語らなかった。証言の重みと語り継ぐことの必要性を感じた」と話していた。

 「語り継ぐ会」は、島根ノモンハンの会(浜田市)がノモンハン停戦記念日の9月16日ごろに毎年開いていたが、90歳を超える元兵士の体調に配慮し、初めて残暑を避け7月に開催した。

(2012年7月2日朝刊掲載)

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