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被害者7団体 事務一本化 大久野島毒ガス 竹原・三原 解散回避、統合見送り

 大久野島(竹原市忠海町)での毒ガス製造の被害者でつくる竹原市と三原市の計7団体が、書類作成などの事務作業の一本化に向け動いている。各団体の役員の負担を減らし、解散の回避につなげる。検討してきた団体同士の統合は見送る。(山田祐)

 これまで活動を続けてきた8団体のうち、大久野島瀬戸田親睦会(尾道市)は来年3月末で解散する方針。各団体は高齢化が進み、会員の医療手当の申請書類を県などに提出する作業と会費の管理が、運営上の負担になっている。

 代表者間で話し合いを重ねた結果、事務作業を任せる組織を探し、来年夏をめどに移管する方針を固めた。会員名簿の管理は引き続き団体ごとに担う。

 代表者たちは当初、団体の統合に向けた協議を続けてきた。しかし、「各団体の会員のつながりは守りたい」との声は根強く、事務作業の一本化で意見が一致。代表者が団体内で調整したうえ、12月の代表者会議で正式に決める見通しだ。

 竹原市まちづくり推進課の国川昭治課長は「被害の実態を後世に伝えるためにも、団体の存続を目指して努力していきたい」と話している。

大久野島の毒ガス被害
 竹原市忠海町沖にある大久野島で、旧陸軍が1929年からイペリットガスや催涙ガスなどを製造した。工員や動員学徒として従事させられた人の多くが慢性気管支炎など呼吸器系の後遺症に苦しむ。国の健康管理手帳を持つ被害者は10月1日時点で1901人(平均88・6歳)。

(2016年11月29日朝刊掲載)

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