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広島市の原爆資料館 衣替えへ 絵や証言 被爆者前面に

■記者 森田裕美

 原爆資料館(広島市中区)の展示構成について、市は早ければ2010年度に全面的な見直しに着手する。遺品など現物資料中心の現在の展示に加え、被爆者が描いた絵や証言映像などを通し、それぞれの人生から被爆の実相を感じ取る場とする。市の基本計画検討委員会が7日、合意した。2009年度中に基本計画を策定する。

 展示の中心である現在の本館(西館)は現物資料を中心に「熱線」「爆風」「放射線」の分類で展示している。見直しでは原爆の威力や人的被害など「8月6日」の全体像をより分かりやすくするのに加え、「被爆者」を前面に打ち出し、人間的な視点から被害の実情を伝える展示構成に改める。

 見学順路も見直す方向となった。現在は本館と渡り廊下でつながる東館から入り、原爆投下に至る背景や世界の核問題などを紹介する東館を見学した後、本館に進むコース。新展示では東館を出入り口とし、本館のメーンの展示をじっくり見てから東館に戻る。見学者が感想や思いを整理する場所も設ける。

 委員からは被爆者運動の歩みなどの展示を求める意見もあり、市は今後、資料収集や来館者サービスなど管理運営の検討にも入る。

 資料館は1955年に開館し、本館は国重要文化財。94年に東館を増設した。開館50周年を機に見直しの検討に着手し、今年4月、外部の有識者で検討委を設置した。

(2008年11月8日朝刊掲載)

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