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演じて訴える原爆の悲惨さ 広島国際映画祭 吉永小百合がトーク

 原爆を扱った映画やドラマへの出演や、原爆詩の朗読を重ねる俳優吉永小百合。11月11~13日に広島市で開かれた広島国際映画祭にゲストで登場し、出演作を振り返りながら「核兵器がなくなってほしい」と平和への思いを語った。(余村泰樹)

 13日にNTTクレドホール(中区)であった「母と暮せば」の上映後、映画館「八丁座」(同)の蔵本順子館主と対談した。長崎の原爆で亡くなった息子の亡霊と母親の交流を描く同作。山田洋次監督から出演依頼を受け「二度と原爆が使われないようにと願っていたから、即やりますと返事した」と振り返った。

 わが子に先立たれた母親を演じた。「最愛の息子を自分より早く失うことは、一生癒やされない。二度とそういうことが戦争で起こることがないように」とあらためて痛感したという。

 原爆の悲惨さに向き合うようになったのは、映画「愛と死の記録」(1966年)で、原爆症の青年と恋に落ちる女性を演じてから。ロケで初めて広島を訪れた。当時の広島市民球場のナイターの明かりを利用した撮影や、入院患者が出演した広島原爆病院での思い出を披露した。

 ライフワークとなる原爆詩の朗読を始めたのは、NHKドラマ「夢千代日記」(81~84年)で胎内被爆した女性の役を務めたのがきっかけ。「いろいろと考え、30年にわたって朗読するようになった」

 今では、沖縄戦を詠んだ詩や、東日本大震災後の福島で生まれた詩も一緒に朗読している。「私は俳優で表現者。小さなことだけど、続けることが大切だと思っている」と力を込めた。

(2016年12月3日朝刊掲載)

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