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平和・芸術ゾーンへ整備 比治山公園 放影研移転時の活用策 

 広島市が広さ約26ヘクタールの比治山公園(南区)を「平和の丘」として再整備する構想で、公園内にある放射線影響研究所(放影研)が移転した場合の市の跡地活用案が5日、分かった。「平和・芸術文化ゾーン」と位置づけ、芸術作品を並べたり、野外ステージを設けたりする。一部の建物はレストランに転用する。(渡辺裕明)

 公園南側を占める放影研の敷地は約2・3ヘクタールある。判明した「平和の丘」構想の基本計画素案では、多目的エリアに屋外彫刻や芸術性の高い遊具を設置。音楽や演劇に利用できる野外ステージを造る。同エリアは民設民営を視野にする。ヒロシマをテーマにした芸術の創作活動や国際交流イベントの開催も検討する。

 一方、放影研の職員宿舎「比治山ホール」は再生し、結婚披露宴を開けるレストランを誘致する。世界的な建築家ル・コルビュジエの弟子、故前川国男氏が設計した建物の魅力を生かす。そばにある広場には、広島を訪れた為政者や著名人が残した平和のメッセージを刻んだ碑を建てる。

 同公園を巡っては、市は1980年にまとめた「比治山芸術公園」の基本計画で、放影研が移転した場合の跡地に博物館を造る方針を打ち出した。その後、移転問題の停滞や市の財政難で博物館構想は凍結している。市は、放影研の移転が進展した段階で改めて博物館構想の扱いを整理するとみられる。

 比治山公園は標高約70メートルの比治山に1903年に整備され、市が管理する。被爆70年の2015年7月に「平和の丘」構想を表明。具体案の検討を進めるとともに、日米両政府が共同運営する放影研の移転に向け、市総合健康センター(中区)への移転入居案をまとめ、先月25日、センターに検査施設を持つ市医師会に協力を依頼した。

(2016年12月6日朝刊掲載)

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