×

ニュース

「象徴保存」除外で一致 旧広島大理学部1号館保存・活用 有識者懇談会 第4回会合

 広島大本部跡地(広島市中区東千田町)の被爆建物、旧理学部1号館の保存・活用について協議する市の有識者懇談会の第4回会合が5日、同大東千田未来創生センターであった。外壁の一部をモニュメントにし、残りを取り壊す「象徴保存」は、「被爆建物と言えなくなる」として選択肢から除く方向で一致した。

 被爆者や住民代表、有識者ら委員10人が出席し、市が保存範囲や費用などをまとめた資料を基に議論。E字形の建物のうち、正面部分をI字形に残す「一部保存」を推す声が目立った。モニュメント化は「被爆の実態を伝えられるのか」「建物内に入れないと意味がない」として否定的な意見が相次いだ。

 もう一つの選択肢の「全部保存」は費用が高額なため賛否が割れたが、一部の委員から「基金を設けてはどうか」「世界に保存をアピールすれば資金が集まるのでは」との提案が出た。活用策については被爆建物の特性を生かし、平和関連の教育・研究施設や、市民の交流施設を求める意見が大勢だった。

 懇談会は年明けにも最終的な意見をまとめる。市は懇談会の意見を参考に、本年度末までに建物の保存範囲と活用策を決める方針でいる。(和多正憲)

(2016年12月6日朝刊掲載)

年別アーカイブ