×

ニュース

国に原因究明求める FA18墜落 岩国基地周辺の自治体

 米海兵隊岩国基地(岩国市)所属のFA18戦闘攻撃機の墜落事故を受け、地元の山口県や岩国市、周辺自治体は8日、中国四国防衛局などから情報収集を重ねた。同基地では9月、AV8Bハリアーが沖縄本島沖で墜落事故を起こしたばかり。各首長たちは原因究明と再発防止策の徹底を国に求める考えを示した。

 村岡嗣政知事は午前10時前、防衛局職員が県庁を訪れて伝えた事故概要を聞いた。報道陣の取材に「事故は大変遺憾」とした上、同型のFA18の飛行中止を求めるかは「市町と相談して対応を考える」とした。岩国市の福田良彦市長は市役所で取材に応じ「市民の安心安全を守る立場として、あらためて安全な運用を強く申し入れたい」と述べた。

 岩国基地に配備計画のある最新鋭ステルス戦闘機F35Bは10月、米国内で出火事故を起こし、山口県や岩国市が受け入れの判断を留保している。FA18の墜落事故が判断に影響を与えるかについて、村岡知事と福田市長は「(F35B配備とは)切り離して考える」と口をそろえた。

 山口県と岩国市の担当者は岩国基地も訪れ、情報収集。対応したジョン・ザンブラーノ政務・地域対策室長は「事故について地元の皆さんが不安に感じていることは承知している。真摯(しんし)に受け止めている」と話したという。このほか、山口県和木町や広島県、大竹市なども防衛局職員の訪問を受け、事故の説明を聞いた。

米軍パイロット 高知沖で収容か

 高知市沖の太平洋上で米海兵隊岩国基地所属のFA18戦闘攻撃機が墜落した事故で、周辺海域を捜索していた海上自衛隊の救難飛行艇US2が8日午後、米軍パイロットとみられる人を収容し、米軍岩国基地に搬送した。防衛省は安否や負傷の有無について「米軍との関係上、説明できない」としている。

同型機飛行 中止を要請 廿日市の市民団体

 FA18戦闘攻撃機の墜落事故を受け、廿日市市の市民団体「岩国基地の拡張・強化に反対する広島県西部住民の会」は8日、安全が確認されるまで同型機の飛行中止を求める要請書を、首相官邸や在日米大使館、米海兵隊岩国基地などに送った。広島、山口両県の住民たちでつくる「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」も9日、事故原因が究明されるまでのFA18の飛行中止を政府と米国に求めるよう、岩国市に申し入れる。

<岩国基地に関連する米軍機の主な事故やトラブル>(2004年8月以降)

2004年 8月 岩国基地で同基地所属のFA18ホーネット戦闘攻撃機が着          陸時のトラブルで機体の一部を損傷
      9月 岩国基地のFA18ホーネットが、オーストラリアで訓練中          に墜落
  05年 5月 岩国基地のFA18ホーネットが米空軍嘉手納基地(沖縄          県)に緊急着陸
      8月 岩国基地のFA18ホーネットがオーストラリア北部の射爆          撃場で訓練中に誤って高性能弾薬を落下
     11月 岩国基地のCH53D大型輸送ヘリコプター2機が、岡南飛          行場(岡山市)に緊急着陸
  16年 9月 沖縄本島沖で岩国基地に配備されているAV8Bハリアーが          墜落

(2016年12月9日朝刊掲載)

年別アーカイブ