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原爆で壊滅 消えた街 旧中島地区発掘 調査費計上へ 広島市20年公開方針

 広島市は8日、平和記念公園(中区)一帯にかつてあり、原爆で壊滅した旧中島地区の遺構を発掘し、被爆75年となる2020年の公開を目指す方針を明らかにした。17年度当初予算案に調査費を計上する。町の営みの痕跡を通じ、市民や国内外の旅行者に被爆の惨禍に一層触れてもらう。

 市は06年3月の「平和記念施設保存・整備方針」で旧中島地区について「町並みの遺構の活用を検討する」としている。公園内では昨年11月からの原爆資料館本館敷地の発掘調査で、被爆時の地層かられんが、しゃもじなどが出土。ただ、耐震工事をするため現状保存は難しいため、別の場所を発掘、保存できないか検討を進めている。

 来年度に計画する調査では長崎市を視察する。長崎の平和公園では、地下の被爆当時の地層の一部をガラス越しに見られる一角があり、瓦や溶けたガラスが含まれる地層を見学できる。被爆の実態を伝える貴重な資料になっており、保存技術などを学びたい考えだ。

 8日の市議会一般質問で取り上げられ、市民局の谷本睦志局長が答弁した。市平和推進課は現段階で保存、公開する場所や方法は未定とし、「長崎で技術やどういう課題があるかを学び、手法を検討したい」としている。(長久豪佑)

(2016年12月9日朝刊掲載)

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