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「真珠湾で平和訴えて」 首相訪問 元海軍兵・川上さん 笠岡

 1941年12月8日に旧日本軍の真珠湾攻撃に関わった元海軍兵が笠岡市笠岡にいる。空母「瑞鶴」の航空整備兵だった川上秀一さん(98)。「日米間の平和をもっと推進する機会になってほしい」と、今月下旬に現地を訪れる安倍晋三首相に期待する。

 旧岡山県堺村(現井原市)で生まれ、笠岡の雑貨商に奉公後、36年に志願して海軍に入った。17歳だった。呉の海兵団などを経て41年に瑞鶴へ配属。同11月に大分県から、北方四島の択捉島・単冠(ひとかっぷ)湾に着いた。戦艦や駆逐艦も集結していた。

 「外交交渉がうまくいかなければ戦争に突入する」と聞かされて出航し、ハワイ沖へ。直接、戦闘に加わることはなかったが、多くの戦闘機を見送った。「攻撃態勢に入る様子が上空の隊長から無線で入り、瑞鶴の船内で放送された。敵船の撃沈状況は知らされなかったが、第2次の突撃がなかったので勝ったと分かった」。敵の目を盗み数週間かけて内地に帰った後も、マリアナ沖海戦(44年)などに加わり、レイテ沖海戦(同)で瑞鶴が沈没。いかだにつかまって漂流しているところを助けられた。

 あの日から75年。米国と日本は同盟国となり、日本は一度も戦争をしていない。「今は戦争は絶対にしてはいかんと思う。勝っても負けても得るものはない」。安倍首相の慰霊については、「よく決断した。不幸のあった地だが、オバマ大統領と平和を強くアピールしてほしい」。(谷本和久)

(2016年12月9日朝刊掲載)

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