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核禁止条約巡り討論 国連軍縮会議 長崎で開幕

 核兵器廃絶の道筋を探る国連軍縮会議が12日、長崎市で2日間の日程で始まった。国連と外務省が主催し、約20の国・国際機関の外交官や専門家ら約60人が出席。初日は、来年3月に始まる見通しの「核兵器禁止条約」の制定交渉を巡り、推進する非保有国と、反対する保有国の担当者が主張をぶつけ合った。

 昨年は広島市であり、2年続けての被爆地開催。長崎市では18年ぶり3回目となる。「核軍縮のアプローチ」をテーマに6カ国の担当者が討議した。

 禁止条約交渉の国連決議案を主導したオーストリアのクーグリッチ外務省軍縮・軍備管理・不拡散局長は「保有国も、核兵器の人道的影響を重視して交渉に加われば溝は埋まる」と強調。決議案に反対した米国のグロモル国務省国際安全保障・不拡散局上級顧問は「核抑止力で平和が保たれてきた面を考えずに禁止を先行すると、国際安全保障体制を損なう」と反発した。他の出席者も、それぞれの立場で意見を述べた。

 13日は非核兵器地帯などを取り上げる。

 また、11日には関連行事で外務省の「ユース非核特使」フォーラムが市内の長崎大であった。広島、長崎、米国の高校生らが、米国が差し出す「核の傘」からの脱却と禁止条約交渉への積極的な貢献を日本政府に求める提言を発表した。長崎の原爆をテーマにした映画「母と暮せば」の山田洋次監督と主演した吉永小百合さんとも意見交換。吉永さんは「世界の若者が心をつなぎ、一日も早く核兵器廃絶の日が来るように」と激励した。(水川恭輔)

国連軍縮会議
 各国の政府関係者や研究者、非政府組織(NGO)のメンバーらが集まり、核軍縮などの課題について意見交換する会議。日本政府と国連の共催。1988年に当時の竹下登首相が国連軍縮特別総会で提唱し、89年に京都で初めて開かれた。以降、広島や長崎をはじめ日本各地でほぼ毎年開かれ、今年で26回目。原則として参加者は一個人の立場で発言し、決議や宣言を採択することはないのが通例。

(2016年12月13日朝刊掲載)

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