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国との協議 平行線 原爆症認定 被爆者は抜本改正迫る

 原爆症認定制度の課題を話し合う日本被団協などと厚生労働相との定期協議が12日、1年11カ月ぶりに厚労省であった。被爆者側は現行制度の抜本的な改正を迫ったが、塩崎恭久厚労相は困難との見方を示し、協議は平行線をたどった。協議終了後、被爆者側は「何も回答がなかった」と失望感をあらわにした。

 約1時間の協議には、被爆者側から被団協や原爆症認定集団訴訟の全国原告団、全国弁護団連絡会の役員たち計15人が出席。全国の被爆者たち約100人が傍聴した。被団協は、爆心地からの距離などの認定要件を外し、病気に応じて加算する新たな手当創設を提案しており、田中熙巳(てるみ)事務局長は「要望に応えてほしい」と求めた。

 国を相手に原爆症認定訴訟を起こした被爆者は相次いで勝訴している。他の被爆者代表も「闘う力も残りわずかだ。訴訟せずとも救済される道を」「裁判に踏み切れず泣き寝入りする人も多い」と口々に訴えた。

 塩崎氏は「重く受け止める」と述べた一方、2013年12月の認定基準見直しで、がん以外の病気を患う人の認定が大幅に増えたと成果を強調。被団協案については、基準設定の難しさなどを理由に応じない考えをあらためて示した。定期協議の空白期間が長引いたことは認め、次回は1年後の開催を目指すとした。

 定期協議は集団訴訟の解決に向けて国と被団協が交わした確認書に基づき、今回で5回目。(田中美千子)

(2016年12月13日朝刊掲載)

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