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広島県医師会 会長に平松氏 補欠選

 碓井静照会長の死去に伴う広島県医師会長補欠選が8日、広島市西区の広島医師会館であり、新会長に前広島市医師会長の平松恵一氏(71)=写真・中区=が選ばれた。任期は2014年3月まで。

 補欠選には、2次救急医療体制の立て直しを主張する平松氏と、地域医療総合支援センター(仮称)の建設推進を訴える県医師会副会長の松村誠氏(62)の2人が立候補。同館であった臨時代議員会で、代議員142人が投票した。得票数は平松氏75票、松村氏67票だった。副会長と理事は12日の代議員会で選出、承認される。

 平松氏は広島大医学部卒。松山赤十字病院整形外科部長などを経て、1983年に医療法人社団まりも会理事長。2004年から3期6年、広島市医師会長を務めた。

この人 広島県医師会長に就任した 平松恵一さん

救急医療の再構築に力

 「地域医療の崩壊を食い止めるため、責任を持って会長職を担っていく」。8日にあった広島県医師会長補欠選。新会長に選ばれた後、力強く宣言した。

 県内では、医師不足や救急医療体制の立て直しなど、山積する医療課題への対策が急務だ。2次救急の輪番制に空白日が生じた東広島市、整形外科で当番病院が足りなくなっている広島市を例に挙げ「輪番病院の疲弊は限界だ。体制の見直しを含め、全県的に救急医療を再構築する必要がある」と訴える。

 私案もある。街中のクリニックに協力を呼び掛け、輪番病院の当直に加わってもらえる仕組みづくりを練る。「即効性のある対策を打ち出したい」。近年の大学医学部の定員は増えているが、地方の医師不足は解消されない現状を踏まえ「データに基づき、現実的な策を考え、行政にも提案していく」。

 碓井静照前会長が力を入れてきた在外被爆者支援についても、活動を引き継ぐ思いは強い。ただ、北朝鮮への訪問は「費用対効果や会員の意見を踏まえ、検討する」と慎重な姿勢を示す。

 広島大医学部を卒業後、「医師に向いているのか」「患者のためを思っているか」と、常に自分の内面と向き合ってきたという。趣味の読書でも、人間の深層心理について考察する宗教や哲学の本をよく手にとる。

 会長を務めるヒロシマ平松病院(広島市南区)ではいまも、整形外科医として外来や当直、手術をこなす。広島市中区で妻と2人暮らし。(山本堅太郎)

(2012年7月10日、11日朝刊掲載)

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