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山口県「法的問題なし」 錦帯橋空港立体駐車場入札 業者など主張にずれ

 岩国錦帯橋空港(岩国市)のターミナルビルを運営・管理する第三セクター岩国空港ビルの駐車場整備工事の入札を巡る問題で、事業費全額が基地交付金で賄われていることについて山口県は13日の県議会商工観光委員会で、補助金適正化法に基づき「必要に応じて空港ビルに指導、助言する」とした。入札を含め現時点で法的問題はないとする。入札の経緯や、事前に入札価格の指示があったことをうかがわせる記録文書に記された内容をまとめた。

■駐車場整備工事の入札や契約の経過

 空港ビルによると、立体駐車場は鉄骨2層構造の3階建て延べ約6940平方メートルで421台を収容する。一般競争入札には8社が参加し、1社が3億9200万円で落札。最低制限価格は設けず、予定価格は4億8100万円だった。その後、最初の落札業者が辞退し、次点だった別の業者と3億9800万円で随意契約した。

 ただ、来年3月までの完成期限に間に合わないとして業者が工法を変更し、契約変更額は12月中に示される。

 工事に伴う臨時駐車場整備でも一般競争入札で別の業者が2700万円で落札後、工事内容の変更で契約額が4810万円に。関連の身体障害者用の駐車枠拡充工事では同じ業者と随意契約した。

■記録文書の内容

 立体駐車場整備工事の一般競争入札で最初に落札した業者が、5月16日、別の第三セクター会社の部長と業者の担当者が打ち合わせをした内容を記した文書。空港ビル幹部の指示で業者が入札額を4億円以下にしたとみられる記述などがある。

 中国新聞の取材に、業者は「内容は事実」とし、空港ビル幹部は「入札額の指示などしていない」と背反する。県はこの日の委員会で「存在、真偽も含め何ら承知していない」と答弁した。

■山口県の見解

 県は空港ビルの39・22%の株式を持つ筆頭株主。今回の事業費6億1500万円は全額、在日米軍再編に伴い国が県に支払う交付金だ。県は補助金適正化法に基づいて空港ビルに対し、交付金が目的通りに使われているかを調べ、不適切な場合は取り消したり、返還を求めたりできる。

 委員会では「空港ビルが提出した交付申請書、着手報告書などを確認している。今後、必要が生じれば指導、助言する」と説明。また「空港ビルは民間企業」として、入札情報を事前に落札業者に知らせたとしても「(公共工事の入札ルールを定めている)地方自治法は適用されない。民間企業の契約は各社の法令順守に沿い適切に判断していると思う」とした。(佐藤正明)

(2016年12月14日朝刊掲載)

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