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交渉進展期待にじむ 北方領土の元住民 中国地方に24人

 15日に長門市である安倍晋三首相(山口4区)とロシアのプーチン大統領の首脳会談で帰属問題などが協議される予定の北方領土。中国地方ではことし3月末時点で、山口を除く4県に北方領土の元住民計24人が暮らす。関係者からは、領土返還に向けた交渉の進展に期待する声が上がっている。

 歯舞群島、色丹島、択捉島、国後島の北方四島の元島民たちでつくる千島歯舞諸島居住者連盟によると、第2次大戦直後に北方四島に住んでいた約1万7千人は、ことし3月末で6312人に減った。中国地方の在住者は、広島が13人で最も多く、岡山7人、鳥取3人、島根1人と続く。山口はゼロだった。

 元島民が最も多いのは北海道の約4900人で、8割弱を占める。次いで、明治時代以降に歯舞群島の開拓などに携わった出身者が多い富山県で約500人。

 境港市の建築業井上和夫さん(65)は、妻真理子さん(65)の亡き両親が国後島の元島民だったため、夫婦で居住者連盟支部のメンバーとして活動している。「戦後70年が過ぎ、多くの元島民が亡くなった。最低でも歯舞群島と色丹島の2島については返還への道筋を付けてほしい」と首脳会談で領土問題が動きだすことを願っている。

 このほか5県では、1982年から87年にかけて経済団体や青年団体が領土の返還促進を目的に、それぞれ県民会議を設立した。北方領土に関するパネル展を開くなどの啓発活動をしている。(野崎建一郎)

(2016年12月15日朝刊掲載)

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