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オスプレイ 防衛相に搬入中止要請

 米海兵隊岩国基地(岩国市)への垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの先行搬入計画で、山口県の二井関成知事、岩国市の福田良彦市長らが10日、森本敏防衛相に省内で会い、安全性の確認前に米側が岩国基地への搬入を進めないよう、外交努力を求めた。

 会談の冒頭で、二井知事と福田市長、柳居俊学県議会議長、「岩国基地問題議員連盟連絡協議会」代表の畑原基成県議がそれぞれ要請書や意見書を提出。政府として、事故原因の究明や安全性の確認がされるまで搬入しない姿勢を明らかにしたうえで、米側と交渉するよう訴えた。森本氏は「要望をできるだけ実現できるよう努力する」と述べた。

 その後の非公開のやりとりで、森本氏は地元の強い反対意見を米側に伝える意向を表明。岩国基地への搬入日が決まれば県や市へ連絡する考えも示したという。

 外務省でも加藤敏幸政務官に同様の要請をした。二井知事は記者団に対し「防衛相、外相のこれからの外交努力に期待している」と強調した。(岡田浩平)

「立地県と同じ心情」 島根知事も反対

 島根県の溝口善兵衛知事は10日の会見で、今月下旬にも垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを米海兵隊岩国基地に搬入する米軍の計画について「心情、考え方は立地県と同じ」と述べ、反対する意向を示した。

 溝口知事は「安全確認をやって搬入することを希望する」と表明。現時点では搬入態勢が整っていないとの考えを示した。山口県の二井関成知事と岩国市の福田良彦市長が反対していることも挙げ「同じ立場で考えていく必要がある」とした。

 米軍への申し入れなど島根県としての対応は「国が米軍から情報を得て安全確認する。その状況をみて考える」と述べるにとどめた。

オスプレイ訓練 中国地方浮上 市長や住民団体が反発 県北3市 

 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが米海兵隊岩国基地(岩国市)に今月下旬にも先行搬入される動きに対し、県北3市では、搬入そのものや、低空飛行訓練への懸念の声が上がっている。(馬上稔子、菊本孟、椎木一郎)

 三次市の増田和俊市長は10日の記者会見で、中国地方の山間部が訓練ルートになる可能性を指摘し、「オスプレイの飛行訓練には反対」と表明。「市民の安全のためにも、市として国や米軍への抗議も検討する」と述べた。

 庄原市の滝口季彦市長も「オスプレイにかかわらず、低空飛行は容認できない」とする。安芸高田市の浜田一義市長は「安全対策が確認されるまでは、国内配備は見送るべきだ」と話している。

 中国山地上空には飛行コース「ブラウンルート」があるとされ、米軍機の低空飛行が度々、目撃されている。

 県国際課によると、2011年度の米軍機目撃件数は、三次市が36件と、統計開始(1997年度)以降最多だった04年度に比べ4分の1に減少。そのほかも11年度は庄原5件、安芸高田0件と、県北3市では減少傾向にある。

 しかし、住民団体「米軍の低空飛行の即時中止を求める県北連絡会」の岡本幸信事務局次長は、オスプレイの沖縄配備後に日本各地で訓練を予定しているとされる問題に触れ、「さらに低空飛行が増える可能性がある」と指摘。「訓練中に事故が起きるなど、機体の欠陥も懸念されている。配備は許せない」と強調している。

(2012年7月11日朝刊掲載)

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