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「人ごとでない」「安全は」 オスプレイ大破 岩国市民 懸念と憤り

 「岩国も人ごとではない」「市民の安全は守られるのか」―。沖縄県沖で米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが不時着し、大破した事故。一夜明けた14日、同機が訓練などの経由地として飛来する米海兵隊岩国基地(岩国市)の周辺住民たちからも、懸念や憤りの声が相次いだ。

 岩国基地近くの同市川下地区。「今回の現場は海上だったが、次はどこで事故が起きるのか」。車町の羽村周子さん(82)は不安そうに語った。同基地報道部によると、各種の所属機はこの日、通常通り運用した。

 川下町の車第一自治会の和田正昭会長(72)は「岩国にとって事故は人ごとでない。しっかり原因を究明してほしい」と要望。旭町の旭第一自治会の江波三郎会長(71)は「国や市は本当に市民の安心安全を守れるのか」と疑問を投げ掛けた。

 同基地の配備機や配備計画のある機体を含む米軍機の事故が相次ぐ事態に、基地機能強化などに反対する団体は批判を強めた。愛宕山を守る市民連絡協議会の岡村寛世話人代表(73)は「安全性に対する信頼が根底から崩れた」と断じた。瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワークの久米慶典顧問(60)は「運用上の欠陥があるのでは」と指摘した。

 全国の主に在日米軍・自衛隊基地を抱える自治体の議員でつくる「沖縄の基地負担軽減を考える議員有志の会」は3日、那覇市で協議会を開き、沖縄に集中しているオスプレイの訓練分散などを提案したばかりだ。

 代表世話人を務める岩国市議会の桑原敏幸議長は「負担軽減の機運が出てきた直後の事故で、協力姿勢にも水を差す。住宅街の上を飛行しないなど、安全な運用を強化するべきだ」と力を込めた。

(2016年12月15日朝刊掲載)

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