×

ニュース

17年度から段階的整備 広島市南区「平和の丘」 市が計画素案公表

 広島市は14日、「平和の丘」構想に基づく比治山公園(南区)再整備基本計画の素案を公表した。2017年度から1~3期に分け、デルタの市街地を一望できる展望施設の新設などを段階的に進める。

 計画区域は公園を中心に約29ヘクタール。1期(17~18年度)は既存施設に磨きを掛け、被爆建物の頼山陽文徳殿を改修。見学会や被爆樹木の説明会を開いて被爆の実態を伝える場にする。まんが図書館前の広場や陸軍墓地のエントランスも整備する。

 2期(19~21年度)は展望施設の整備が中心事業。公園中央部で西を望むエリアに高さ約15メートル、長さ約80メートルの回廊を設け、市中心部の眺めを楽しんでもらう。このほか、広島を訪れたオバマ米大統領たち為政者や著名人が残した「平和のメッセージ」を記した碑を園内の主な展望場所に建てる。

 一方、日米両政府が共同運営する放射線影響研究所(放影研)が移転した場合の跡地活用は3期に。市が市総合健康センター(中区)への移転入居案をまとめ、センターに検査施設を持つ市医師会に協力を依頼するなど調整中であることを踏まえ、具体的な期間は設定していない。移転が実現すれば、建物を取り壊して多目的エリアなどを整備する。

 この日の市議会総務委員会で報告した。市は公園の歴史的価値や、平和記念公園(中区)から約2キロの立地を強調。「国際平和文化都市として復興した広島の『今』を実感できる新たな拠点として再整備する必要がある」などと説明した。民間の協力を得ながら事業を進めていくという。(渡辺裕明)

(2016年12月15日朝刊掲載)

年別アーカイブ