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社説・コラム

『想』 コテル・ジュディー 私が教えたい広島

 広島市に住んで9年たつ。その間、たくさんの友達が遊びに来た。2、3週間滞在する人も少なくない。初めて日本に来る場合も原爆ドーム、原爆資料館(中区)や宮島(廿日市市)は知っているので、教える必要がない。

 広島市内だと縮景園(中区)と三滝寺(西区)を薦める。京都に行ったことのある人も、三滝寺には感動する。遠くてもいいなら、三段峡(安芸太田町)鞆の浦(福山市)や尾道の海辺などに連れて行く。夜は広島県民の大好きな岩国の「山賊」に行って、野外で食事する。みんな絶対に喜ぶ! 「ジブリ映画」の景色が思い浮かぶ。

 広島の魅力は、観光地に限らない。昼のショッピングやカフェテラス、夜の流川、広島東洋カープの試合も教える。

 でも広島の雰囲気と人に触れなければ、「広島で何も見てない」。広島の本質を体験するには、過去の面影が残る場所に行かないといけないと思う。

 JR横川駅や広島駅西周辺には、昔のままの人情を感じる。低い建物やレトロな店先、歩行者道路、常連さんと若い住民が集う狭い食堂のカウンター…。濃い広島弁でしゃべる店主と飲みながらコミュニケーションできれば、特別な思い出がいつまでも残る。

 今年、フランスから来たカップルと昼に横川へ行くと、「横川アイデンティティー」というテーマでイベントをやっていた。夜までギャラリーやカフェを巡って、アーティストや地元の人と話して楽しんだ。

 別のカップルとはタカノ橋商店街(中区)の祭りに行って、テーブルで一緒になった知らない人と飲んだ。友達とも偶然会って盛り上がった。それから何となく「駅西」に行って一番狭い路地を歩いていたら、ベンチに座っているおじさんに小さいバーを薦められた。そこは壁がレコードだらけで、若い店主とは共通の友達がいることが分かった。店の外でたばこを吸っていたら、隣の店長が梅酒をおごってくれて話し込んだ。

 外国人に見せたいのは、日常のそんな広島です。(編集者)

(2016年12月15日セレクト掲載)

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