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被爆「伝承者」を養成 原爆資料館で研修スタート

 被爆者の体験を語り継ぐため、広島市が募集した「被爆体験伝承者」の研修会が12日、中区の原爆資料館東館で始まった。研修生が被爆者と「師弟関係」を結んで、証言活動を引き継ぐ初の試み。参加者は約3年間の研修を積み、修学旅行生などに被爆体験を語る。

 広島県以外の8道府県の10人を含む122人が参加した。市国際平和推進部の谷川晃部長が「高齢化した被爆者の思いを受け継ぎ、確実に後世へ伝えてほしい」とあいさつ。広島市立大広島平和研究所(中区)の水本和実副所長たちを講師に、原爆開発の歴史や戦時下の市民の暮らしぶりなどを学んだ。

 公募には137人が応じていた。本年度は、計13回の講座で原爆被害の概要などを学ぶ。来年度は原爆資料館で体験を証言する被爆者23人から指導を受け、最終年度に語りの実習を積む。その後、市側の委嘱を受けた人が伝承者として活動する。

 大阪府摂津市から参加した会社員滝奈三江さん(33)は「修学旅行で聞いた証言が忘れられず、応募した。この日の講座も知らなかったことが多く、伝承者になる意欲が増してきた」と話していた。(田中美千子)

(2012年7月13日朝刊掲載)

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