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原発大国に 福島の実情伝えよう アニメ「無念」 仏で上映

 東日本大震災の被災者と交流する広島市の市民団体「まち物語制作委員会」は来春、福島第1原発事故を題材にしたアニメ「無念」をフランスで上映する。米国に次ぐ原発大国フランスで、事故の影響や避難生活を知ってほしいと企画した。

 来年3月18~25日にパリ、リヨン、グルノーブルの3都市で上映する。避難指示区域の福島県浪江町からの避難者も参加する。

 ことし3月に完成した「無念」は、住み慣れた地域から撤退を余儀なくされた浪江町の消防団員や住民の悔しさ、風評被害への憤りを描いた約1時間の作品。国内300カ所以上で自主上映された。

 活動を知った元フランス国立科学研究センター研究員で、避難者を同国に招く活動をしているグルノーブル市在住の杉田くるみさん(67)が上映会を打診。フランス語訳の字幕も担当した。

 同国は原発58基が稼働し、電力の約75%をまかなう。杉田さんは「フランスにとって事故は人ごとではない。重大事故が起きたらどうなるか、福島の声を聞いてほしい」と話す。

 同委員会の新沢孝重代表(82)=安佐北区=は「世界では今も原発が増え続け、日本だけの問題ではない」と力を込める。上映会の開催に100万円かかるため、同委員会はインターネットを通じたクラウドファンディングで27日まで資金を募っている。(栾暁雨)

(2016年12月16日朝刊掲載)

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