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露大統領に友好の親書 江津 戦時の艦隊乗組員救助の記憶 首脳会談機に地元住民

 江津市和木町の住民でつくる和木まちづくり協議会と和木まちおこし実行委員会が、長門市での日ロ首脳会談に合わせ、ロシアのプーチン大統領に親書を送った。日露戦争時、漂着したロシア艦イルティッシュ号の乗組員を住民が救助し、現在もロシアとの交流が続く。親書には「両国の友好がさらに深まるように」との思いを込めた。(松本輝)

 親書は「過去、不幸にして戦争という悲しい出来事がありました」と切り出す。ロシア・バルチック艦隊の特務艦だったイルティッシュ号は1905年5月27日、日本海海戦で被弾し、翌28日に同町沖の日本海に。ボートで海岸にたどり着いた200人を超える乗組員を住民が助けた。

 同町では翌06年から毎年「ロシア祭り」を開く。かつては戦勝記念行事だったが、太平洋戦争後は両国の友好と戦争根絶への思いを受け継ぐイベントに変化。祭りの際には、ロシアからホームステイを受け入れるなど、今も交流を続ける。

 親書では祭りを今後も継承していく決意を示し、プーチン大統領に「『博愛精神・友好』にお力を」と呼び掛けている。作成は10月、住民が発案。ロシア語に翻訳して今月上旬、ロシア大使館(東京)に送った。

 まちづくり協議会の野田久雄会長(65)は「オバマ米大統領の広島訪問や安倍首相の真珠湾訪問表明など、将来の友好と平和を目指して行動している。私たちの親書も、その力になればうれしい」と話している。

(2016年12月16日朝刊掲載)

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