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国「安全性問題なし」 F35事故 岩国市議会全協 議員 配備に慎重論も

 岩国市の米海兵隊岩国基地に配備計画のある最新鋭ステルス戦闘機F35Bの米国内での出火事故を巡り、国が対策などを説明する市議会全員協議会が16日、市役所であった。国側は「安全性に問題はない」と強調。同基地関係の米軍機の事故が相次ぐ中、議員からは来年1月からの配備に慎重な意見も出た。(野田華奈子)

 出席した岸信夫外務副大臣は、出火事故で市が受け入れ判断を留保せざるを得なくなった事態について陳謝。宮沢博行防衛政務官は「米側は再発防止策の実施など現時点での最大限の措置を取っている。配備予定のF35Bは点検で異常がないと確認された」と安全性の根拠を示した。

 出火事故以外にも、9月にAV8Bハリアーが沖縄本島沖で、今月7日にはFA18ホーネット戦闘攻撃機が高知市沖に墜落。13日には垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが沖縄県沖で大破した。

 議員からは「度重なる事故で市民の不安が増している」「配備は時期尚早」との訴えもあった。宮沢防衛政務官は、3件とも政府が米側に飛行停止を求めたが、ホーネットだけ飛行を継続しており、理由を確認中であることを明らかにした。

 出火事故を巡っては、10月27日(現地時間)の発生から10日以上たって国が把握した経緯もあり、米側からの情報提供の在り方が問題となっている。

 岸外務副大臣は、米側から速やかな連絡がなかったと認めた上で「国外でも日本側の関心を集めそうな重大事故は積極的に情報提供するよう要請した」と説明。米側の反応を問われると、「明確な答えはもらっていないが強く申し入れていく」とした。

 議員からは「要請だけでなく体制構築を」「市長に事故の一報をホットラインで流しては」などの提案もあり、宮沢防衛政務官は「検討したい」と述べた。

 福田良彦市長は全協終了後、「議員の意見などを踏まえ総合的に(受け入れを)判断したい」と話したが、時期は示さなかった。

同型機飛行中止求める 市に4団体

 米海兵隊岩国基地に関係する米軍機の事故の続発を受け、岩国基地の機能強化に反対する四つの市民団体が16日、事故機と同型機の飛行中止などを政府や米軍に求めるよう、岩国市に要望した。

 愛宕山を守る会の岡村寛世話人代表(73)たちが市役所を訪れ、高田昭彦・基地政策担当部長に要望書を手渡した。同型機の飛行中止のほか、日米地位協定の見直しや岩国基地の現有部隊の配備縮小などを求めている。

 米軍機の運用について、高田部長は「必要性は分かるので、(市は)安定的な運用には協力する立場だ」と説明。これに対し各団体のメンバーは「運用に問題があるから連続して事故が起きている。市民の安心安全が一番だ、という態度を今こそ示すべきだ」などと訴えた。

(2016年12月17日朝刊掲載)

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