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50年代の呉 カラーで鮮明 元豪軍兵士撮影518枚 

 広島県呉市に1950年代半ばに駐留していたオーストラリア軍兵士の遺族が、当時の市民の暮らしや街の様子を写した大量のカラー写真を電子データにして市に寄贈した。研究者は「当時の呉市を写したカラー写真は大変貴重だ」と話している。(小林可奈)

 寄贈したのは同国メルボルン市のバーバラ・ハーモンさん(65)。55年から約2年間、兵士だった父や家族と呉市で暮らした。電子データの写真は計547枚あり、カラー518枚、白黒29枚。59年に43歳で亡くなった父ノエル・メイさんが趣味で撮りためていたという。

 客でごった返す商店街、着物姿の市民が集う神社の祭り、家がひしめく急傾斜地の風景のほか、運動会の幼稚園児やもんぺ姿で農作業をする人など市民の日常も捉えている。

 ハーモンさんが暮らしたのは宮原地区の一軒家とみられる。8、9歳だった。一家で近所の日本人家庭と日帰り旅行したほか、妹と一緒に日本舞踊を習うなど日本に親しんだことを覚えている。

 4月に来日し、観光で呉市を再訪。通訳の勧めで市史編さん室を訪ね、当時のカラー写真は貴重と言われて提供を申し出た。

 元市史編さん室長の千田武志さん(65)は「当時、カラー写真を撮れるカメラを持っている人は少なかった。オーストラリア軍が市民との交流規制を廃止した時期で、暮らしぶりを写す機会も多かったのでは」と推測している。

(2012年7月14日朝刊掲載)

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