祈りの影絵 ハワイへ 広島の若者 来月オバマ氏母校訪問 「身近な幸せ」題材に指導
16年12月19日
影絵の優しい光が、米ハワイにも届く―。被爆前の市民の暮らしや復興の様子を影絵で伝えてきた広島の若者グループ「影絵ユースワークショップ」が来年1月、ハワイのプナホウ学園を訪れる。授業で生徒に影絵の作り方を教え、「身近な幸せ」などをテーマに制作に取り組んでもらう。(山本祐司)
人や物の輪郭に合わせ、黒い画用紙を切り抜いて作った「影」と対照的に、背景とする緑や紫、黄の和紙から淡い光が透ける。「この光が見る人の心を温めて共感を呼ぶ。誰でも作れるのも魅力」。グループ代表で広島女学院大3年の河浜萌子さん(20)は話す。
原爆ドーム(広島市中区)に近い元安橋のたもとで毎年8月5、6日に開く「小さな祈りの影絵展」は被爆60年の2005年に始まった。大人を中心に続けていたが、制作に携わった中学・高校生たちが大学生に成長。そんな「教え子」が12年からユースワークショップとして引き継いだ。夏だけではなく、学校などで巡回展を開催している。
今回のハワイ訪問は、スタート時のメンバーの一人で現在はサポート側に回っている会社員、高林真澄さん(61)=西区=の提案がきっかけ。昨年12月、友人でプナホウ学園の元日本語教師ピーターソンひろみさん(68)=ホノルル市=に現地での作品展示を相談した。念頭には、ハワイに渡った「原爆の子の像」のモデルとなった佐々木禎子さんの折り鶴があった。アートも海を越えて人の心を伝えられるという希望があった。
今年4月、ピーターソンさんから期待を上回る朗報が届く。「新しく始まる平和をテーマにした授業で教えてほしい」。高林さんは驚くとともに「現地に影絵文化がないので責任は重大」と気を引き締めた。
向かうのは高林さんや河浜さん、大学生ら計7人。1月3日に広島を出て4、5日、学園で高校生約40人に教える。A4判の作品を各自作ってもらい、校内の図書館の窓に飾る。6日は真珠湾のアリゾナ記念館を訪れ、8日に帰国する。
今年5月、同学園を卒業したオバマ米大統領が広島を訪問。準備のさなか、安倍晋三首相が今月下旬、ハワイを訪れるニュースも飛び込んできた。同居する祖母が被爆者という河浜さんは「ヒロシマとハワイのつながりを強くする絶好の機会。互いを知ることで平和の心も交換したい」と話している。
(2016年12月19日朝刊掲載)
人や物の輪郭に合わせ、黒い画用紙を切り抜いて作った「影」と対照的に、背景とする緑や紫、黄の和紙から淡い光が透ける。「この光が見る人の心を温めて共感を呼ぶ。誰でも作れるのも魅力」。グループ代表で広島女学院大3年の河浜萌子さん(20)は話す。
原爆ドーム(広島市中区)に近い元安橋のたもとで毎年8月5、6日に開く「小さな祈りの影絵展」は被爆60年の2005年に始まった。大人を中心に続けていたが、制作に携わった中学・高校生たちが大学生に成長。そんな「教え子」が12年からユースワークショップとして引き継いだ。夏だけではなく、学校などで巡回展を開催している。
今回のハワイ訪問は、スタート時のメンバーの一人で現在はサポート側に回っている会社員、高林真澄さん(61)=西区=の提案がきっかけ。昨年12月、友人でプナホウ学園の元日本語教師ピーターソンひろみさん(68)=ホノルル市=に現地での作品展示を相談した。念頭には、ハワイに渡った「原爆の子の像」のモデルとなった佐々木禎子さんの折り鶴があった。アートも海を越えて人の心を伝えられるという希望があった。
今年4月、ピーターソンさんから期待を上回る朗報が届く。「新しく始まる平和をテーマにした授業で教えてほしい」。高林さんは驚くとともに「現地に影絵文化がないので責任は重大」と気を引き締めた。
向かうのは高林さんや河浜さん、大学生ら計7人。1月3日に広島を出て4、5日、学園で高校生約40人に教える。A4判の作品を各自作ってもらい、校内の図書館の窓に飾る。6日は真珠湾のアリゾナ記念館を訪れ、8日に帰国する。
今年5月、同学園を卒業したオバマ米大統領が広島を訪問。準備のさなか、安倍晋三首相が今月下旬、ハワイを訪れるニュースも飛び込んできた。同居する祖母が被爆者という河浜さんは「ヒロシマとハワイのつながりを強くする絶好の機会。互いを知ることで平和の心も交換したい」と話している。
(2016年12月19日朝刊掲載)