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平和宣言 「福島への思い」盛る 骨子案を了承

 広島市の松井一実市長が8月6日の平和記念式典で読み上げる平和宣言の内容を検討する被爆体験談選定委員会(9人)は14日、市が示した骨子案を大筋で了承した。被爆者から公募した体験談から、「原爆で失われた広島の市民生活」をテーマに選定した男女3人の文章を引用する。福島第1原発事故の被災者に寄り添う思いも盛り込む。

 選定委は市役所であり、非公開。委員長の松井市長、日本被団協の坪井直代表委員たち全員が出席した。

 引用する体験談を寄せたのは被爆当時の年齢が20歳の女性、13歳の男性、16歳の女性の計3人。被爆者の生の言葉で、家族を失った悲しみや破壊された街の様子を伝える。宣言には、原発依存からの脱却に向けた政府の動きを後押しする内容の文言も盛り込む。

 全体の構成や原発に関する記述への異論はなかったという。松井市長は「広島も何もない状況を乗り越えてきた。一緒に頑張ろうといった福島の被災者の心に響くような表現を、という助言もいただいた」と話した。

 ことしの選定委の会合は今回で終了する。松井市長が委員の助言を踏まえて修正を加え、8月初旬に宣言の骨子を発表する。(田中美千子)

(2012年7月15日朝刊掲載)

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