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被爆体験 継承訴え 都内で討論

 被爆体験の継承と発信について理解を深めようと、「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」が15日、東京都内で集会を開いた。被爆者らがパネル討論し、核兵器廃絶を実現するため、体験を次代に伝える重要性を再確認した。

 3人が討論した。長崎で被爆した日本被団協の木戸季市事務局次長は、高齢の被爆者の切実さを代弁。「核兵器をなくすという、私たちの大切な課題を皆さんと考え、継承しなければ」と訴えた。

 精神科医の香山リカさんは「継承は効率の悪い作業かもしれないが、核兵器を持つという誤った考えに対抗する唯一の手段だ」と強調。被爆者医療に詳しい、わたり病院(福島市)の斎藤紀(おさむ)医師は「膨大な全ての体験が記憶遺産の対象だと思う」と指摘した。

 会は被団協役員や弁護士、研究者が昨年12月に設立。証言や運動の記録を集めた平和資料センターの設置を目指す。集会は今年4月にNPO法人となったのを記念して開き、約350人が参加した。(岡田浩平)

(2012年7月16日朝刊掲載)

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