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「不戦」実現へ行動求める 「核禁止条約」主導を 広島の被爆者

 安倍晋三首相の米ハワイ・真珠湾訪問に対し、広島の被爆者は28日、「未来志向だ」として好意的に受け止めた一方で、謝罪がなかった点には不満の声も聞かれた。「不戦」の実現へ、核兵器廃絶に向けた行動を両国トップに求める意見も出た。

 5月に広島を訪れたオバマ大統領と言葉を交わした広島県被団協の坪井直理事長(91)は、広島市中区で記者団の取材に応じた。今回の両首脳の演説には謝罪や核兵器廃絶への言及はなかったが、「現状では精いっぱいだろう。簡単ではないが、和解に向けた流れはいい感じになっている」と前向きな感想を語った。

 坪井理事長は1997年に真珠湾を訪れた際、居合わせた現地住民と触れ合ったといい「命の大切さを感じれば民族や人種が違っても分かり合える」と強調。「戦争被害を受けたアジアの国々へも慰霊に行ってほしい」と注文した。

 もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(72)は「安倍首相は戦争を始めた点への謝罪をすべきだった。あいまいなままでは和解は成り立たない」と指摘。来年3月に制定交渉が始まる「核兵器禁止条約」に日米両国が反対している点を批判しつつ「不戦を誓うというなら、日本政府は交渉を主導すべきだ」と話した。(長久豪佑)

(2016年12月29日朝刊掲載)

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