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故槙坪監督モデルの映画撮影開始 命の尊さ発信

 広島市安佐北区で幼少期を過ごし、昨年9月に71歳で亡くなった映画監督の槙坪多鶴子さんをモデルにした映画「少女の夢~いのちつないで~」の撮影が18日、佐伯区湯来町の水内川周辺で始まった。市民も出演し、命の尊さを訴え続けた槙坪さんの思いを伝える。

 山あいに暮らす少女が、原爆の後遺症や差別に苦しむ人や、地域との関わりの中で成長する物語。夫の映画プロデューサー光永憲之さん(64)=東京都世田谷区=が、8歳まで安佐北区安佐町久地で過ごした槙坪さんの体験を基に脚本を書いた。

 この日は、撮影スタッフや役者約20人が、下見で選んだ清流の水内川に集合。主人公の少女と友人の川遊びや、被爆の後遺症に苦しむ人とのやりとりのシーンを撮影した。

 住民役として親子3人で出演した安佐南区の農業石井裕二さん(35)は「認め合うことの大切さを発信した、槙坪監督を知ることができてよかった」と感想を話した。

 29日まで安佐北区の駅跡や安芸太田町の井仁の棚田で撮影。市民や地元の住民約30人も郵便局員や医師を演じる。光永さんは「多くの広島の人に協力してもらっている。自立や共生をテーマにした彼女の作品の原点をしっかり表現したい」と話す。(有岡英俊)

(2012年7月19日朝刊掲載)

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