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艦載機移転 ことし着手 米軍方針 岩国へ厚木から

 在日米軍再編に伴う米海兵隊岩国基地(岩国市)への米海軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機移転について、米軍がことしに着手する方針を固めたことが3日、分かった。これまでは日米両政府の合意に基づき移転時期を「2017年ごろまで」としてきたが、時期を絞り込むのは初めて。近く表明するとみられる。

 米軍は全ての艦載機を同時に移転するのではなく、部隊ごとに段階的に進める意向を示している。「17年ごろ」との時期は、日本政府が山口県や岩国市に説明していた。移転が完了すれば岩国基地は配備機が120機を超えて、軍事的な拠点性がさらに高まる。

 岩国基地の配備機では、昨年9月に沖縄本島沖でAV8Bハリアー攻撃機が、11月には高知市沖でFA18ホーネット戦闘攻撃機が墜落した。相次ぐ事故を受け、基地周辺住民の不安は高まっている。米軍の態度表明により、県と市は受け入れの是非の判断を迫られる。

 艦載機の移転計画について、岩国市の福田良彦市長は容認していない。安心安全対策と地域振興策の実現を求めており、是非については「最終的な判断は国との協議の先にある」とする。山口県の村岡嗣政知事も「地元の意向を尊重する」と同調している。

 その上で、具体的な時期は「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設の見通しが立たないうちに、艦載機の移転のみを切り離して進めることは認められない」との立場を取る。

 日本政府はこれまで、岩国基地へ移る艦載機を計59機と説明している。内訳はFA18が最多の49機で、EA6B電子戦機4機、E2C早期警戒機4機、C2輸送機2機。厚木基地ではその後、FA18は全てエンジン出力の大きいスーパーホーネットとなるなど機種が替わっている上、移転機数も60機以上となる可能性が高い。(村田拓也、野田華奈子)

米空母艦載機移転計画
 在日米軍再編で米海軍厚木基地の空母艦載機を米海兵隊岩国基地へ移転する計画。いずれも、米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)に配備されている原子力空母ロナルド・レーガンに搭載されている。移転時期は当初、2006年に日米が合意したロードマップで「14年まで」とされた。その後、岩国基地内の家族住宅など受け入れに必要な工事が遅れているとして、日本政府が13年1月、山口県と岩国市に「17年ごろまで」への変更を伝えていた。

(2017年1月4日朝刊掲載)

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