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「ゲン」でたどるヒロシマ 原爆資料館 絵本版原画展始まる

 漫画家中沢啓治さん(73)の代表作「はだしのゲン」の絵本版の原画を紹介する展示会が19日、広島市中区の原爆資料館東館で始まった。「はだしのゲン」誕生のきっかけとなった自伝漫画「おれは見た」の発表40年を機に開催。戦時中の生活や原爆投下後の惨状を分かりやすく表現している。9月3日まで。

 全24ページ分のカラー原画をパネル12枚に複製して展示。戦時中の爆心地付近の様子や、戦争に反対した父が「非国民」扱いされ、主人公のゲンたちがいじめられる場面、原爆でガラスがささった人、多くの死体が川に浮かんでいる風景などを描いている。パネルの横には、中沢さんへのメッセージを自由に記せるノートも用意している。

 夫と旅行で訪れた川崎市中原区、通訳案内士広瀬由美子さん(48)は「原爆資料館を見学した後だと、背景を理解しているので分かりやすい。あらためて漫画の『はだしのゲン』を読みたい」と熱心に見入っていた。

 絵本は1980年8月、「低年齢層に分かりやすく」との狙いで出版された。

 中沢さんは2011年2月、試作品なども含む119作品、計約1万枚の原画を原爆資料館に寄贈している。(二井理江)

(2012年7月20日朝刊掲載)

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